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2007年06月22日

花の終わり

 そんな訳で、作業自体はバックグラウンドで行いつつ北海道へ行ってきました。
 ターゲットは言うまでも無く大鉈が振るわれる夜行列車群なんですが、それと共にこの列車もターゲットです。

 すずらん

 北海道の電化路線にあって、長年その屋台骨を支えてきた781系特急型電車。
 飛ぶ鳥を落とす勢いの新進気鋭な万能特急型として内地を縦横無尽にネットした485系特急型電車。
 国鉄の威信をかけて津軽海峡を渡った1500番台は、蝦夷の過酷な環境に打ちのめされプライドを叩き潰され、列車の計画運休が行われるほどだったとか。
 車両のデッキに入り込んだ粉雪で子供が雪合戦するとか、雪切室で雪が落とせないとか、そんな冗談みたいな話がいくらでもエピソードとして残っているんだそうです。
 そう。彼らの送り込まれた石狩平野とは、内地の多降雪・寒冷地エリアなど比較にならない世界だったのでした。

 猛吹雪の板谷峠も白魔荒れる田沢湖線も、日本海の荒波が叩きつける日本海縦貫線ですらも『恵まれた環境ですね』と一笑に付されるほどの寒冷地。北緯45度を目指す路線は、内地向けの貧弱な耐寒耐雪装備で太刀打ちできるような所では無かったのでした。
 その函館本線へ投入された711系と共に一つの時代を気付いた781系。
 いまだ現役で駆ける彼らに付けられた愛称は『すずらん』と『ライラック』。
 可愛らしい花をつける植物の名前を抱く彼らですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

 今、日本で最も過酷な電化線を走る彼らの後輩達は、道内はもとより日本全国で見ても決して見劣りしない高速ランナーが揃っています。
 猛吹雪の函館本線で、雪を蹴散らし全力走行するSWAの姿を見れば、そろそろこの老優にも引退の時が迫っているのだと思えてなりませんでした。
 今年10月。彼らは北の大地から姿を消す事になりそうです。
 電車よりも遥かに優速な韋駄天気動車特急に混じり、細々とローカル特急で余生を送る彼ら。
 夕暮れの登別駅に滑り込むその音は国鉄の雄叫びそのものでした。

 長い間、たいへんおつかれさまでした。

 ふと、ファインダーを見ながら、そんな言葉を洩らしていたように思います。
 あちこち痛んでボロボロになった車体のまま、懐かしいタイフォンの音とも共に駆け抜けていきました。

投稿者 風来坊 : 2007年06月22日 23:56

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