2005年11月03日
日没間近

遥か遠く、眩いばかりの光芒が樹海を照らす。
日没間近の銀河線沿い。
鉄道車両の放つ光は自動車とは異質なものだ。
…かつて、一度は切り開かれた森だろう。
拓殖の夢を持った人たちが有史以来斧を入れていない森に手を掛けたのは、ほんの100年にも満たない昔の話なのかもしれない。
しかし、夢破れ一人また一人とこの地を後にしていくに従い、この大きな森は(かつてそうであったように)本来の姿に戻りつつあるのかもしれない。
身勝手な人間達の夢ですらも受け止め、時には厳しくとも暖かな春と麗らかな夏、鮮やかな秋を見せてきた十勝の大空と大地は、ちっぽけな人間達の時間軸では量れぬ程の大きさを持ってこの威容を保ち続けるのだろ思う。
人間だけでなく、全ての生き物の揺り篭となって。
人間達が撤退して行った後も、人間以外の全ての生き物にとって変えがたい生活の場となって。
だから、私はこう思う事にした。
鉄路が廃止になるのではなくて、鉄路が出来る前に戻るだけだ…と。
樹海を照らす光芒が見えなくなったとき、どこからとも無くエゾシカの鳴く声が聞こえた。
ここにはまだ沢山の生き物が居る、人間が居なくなっても、何も問題ない…
投稿者 風来坊 : 2005年11月03日 00:19
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